【2025年版】プロが選ぶギター用ペダルチューナーおすすめ7選|失敗しない選び方の全知識
さて、ギターを弾く皆さんの足元、エフェクターボードにはどんなペダルが並んでいますか?こだわりのオーバードライブ、空間を彩るディレイ、サウンドに広がりを与えるコーラス…。ギタリストにとって、足元の機材を考える時間は本当に楽しいものですよね。
その中でも、一見すると地味な存在でありながら、実はあなたの演奏、ひいてはバンドサウンド全体のクオリティを根底から支える、最も重要なペダルが何か、ご存知でしょうか?
そう、それこそが『ペダルチューナー』です。
しかし、いざ「自分に合ったペダルチューナーを選ぼう!」と意気込んで楽器店やデジマートを覗いてみると、その種類の多さに圧倒され、途端に頭を悩ませてしまう…。そんな経験、皆さんも一度はあるのではないでしょうか?
「定番はBOSSのTU-3だって聞くけど、最近はすごく小さいモデルもあるし…」「値段も数千円のものから2万円近いものまでピンキリ。一体、何がそんなに違うんだろう?」「そもそも、手軽なクリップチューナーで十分なんじゃないの?」
私のレッスンでも、時折こういったご質問を受けます。確かに、チューナーはモデルごとに特徴が大きく異なるため、選択が難しい機材の一つです。
そこでこの記事では、これまで有名ギタリストを含む数多くのアーティストのサウンドメイキングに携わってきた私、高村が、2025年現在の最新情報とプロの視点を余すところなく注ぎ込み、あなたのギターライフをより良くするための最適なペダルチューナーの選び方を徹底的に解説していきます。
この記事を最後までじっくりと読み終える頃には、あなたはもうチューナー選びで迷うことはなくなるでしょう。なぜなら、『精度』『視認性』『音質への影響』そして『サイズ』といった様々な角度から、あなたの演奏スタイルやペダルボードの構成に本当に合った一台を、あなた自身の確かな基準で判断できるようになるからです。
「今はクリップチューナーで十分かな」と思っている方も、ペダルチューナーが持つ、特にライブやスタジオ練習といった環境下での圧倒的なメリットを知れば、きっとその価値を再発見し、ご自身の足元に迎え入れたくなるはずですよ。
さあ、一緒に後悔しないペダルチューナー選びを始めましょう!
📋 目次
【基礎知識】なぜ今、ペダルチューナーが「必須アイテム」なのか?
「クリップチューナーの手軽さも捨てがたいけど…」そう思う方も多いでしょう。もちろん、クリップチューナーはご自宅での練習などでは非常に便利で、私も活用しています。
しかし、なぜ多くのプロギタリストや、ライブ活動を本格的に行っているギタリストたちは、決まって足元にペダルチューナーを置くのでしょうか?
それには、手軽さだけでは決して得られない、4つの明確な理由があるのです。一つずつ見ていきましょう。
メリット①:足元でのスピーディー&スマートな操作性
まず最大のメリットは、ギターを構えたまま、足で素早くON/OFFできること。当たり前のようですが、これが演奏現場では非常に重要なのです。
ライブの曲間、ほんの数秒でチューニングを確認したい時。スタジオでメンバーと音を出しながら、ふと自分のピッチが気になった時。そんな時、いちいち演奏から左手を離してヘッドのクリップチューナーを操作する…そんな煩わしさから解放されます。足元のスイッチをカチッと踏むだけで、即座にチューニングモードに入れるのです。
このスピーディーさは、演奏の流れを止めないスマートなステージングに直結します。さらに、近年のモデルにはチューナーをONにしても音をミュートせず、常にチューニング状況を表示し続けられるタイプも登場しています。これにより、演奏中でもリアルタイムで自分のピッチを確認できるため、よりシビアな音程管理が可能になるのです。
メリット②:ミュート機能という「ステージマナー」
そして、これがペダルチューナーを選ぶ上で最も重要な機能と言っても過言ではありません。それは「ミュート機能」です。
ほとんどのペダルチューナーは、スイッチを踏んでチューニングモードになると、アンプやPAへの音声信号が完全にカット(ミュート)されます。これがどういうことかと言うと…
- ライブ中にギターを持ち替える時、シールドを抜き差しする際の「ブチッ!」という大きなノイズを防げる。
- チューニング中の「ポーン、ポーン」という音を客席に聞かせずに済む。
- 演奏していない曲間で、ギターから出る不要なノイズ(「ジー…」というハムノイズなど)を完全にシャットアウトできる。
これらは、観客に快適な音楽体験を届けるための、いわば「音響的なステージマナー」です。この機能があるからこそ、多くのギタリストはペダルチューナーを信頼し、自身のペダルボードの”入口”という重要な場所に設置しているのです。
メリット③:音質劣化を防ぐ「バッファー」という名の縁の下の力持ち
「エフェクターをたくさん繋ぐと、なんだか音が細くなる…」いわゆる「音痩せ」に悩んだことはありませんか?これは、長いシールドケーブルや複数のエフェクターを経由することで、ギターが本来持つ美味しい高音域成分などが失われてしまう現象です。
ここで登場するのが「バッファー」という回路です。ペダルチューナー、特に近年の多機能なモデルには、このバッファーが内蔵されていることが多くあります。
バッファーは、ギターからの繊細な信号(専門的にはハイ・インピーダンス信号)を、外部の影響を受けにくい力強い信号(ロー・インピーダンス信号)に変換してくれる役割を持っています。いわば、誰にもその存在を気づかれることなく、ペダルボード全体の音質を支えてくれる『縁の下の力持ち』。まさに陰の立役者、といった存在なのです。
ペダルボードの先頭にバッファー内蔵のチューナーを置くことで、その後に続くペダルたちへ信号をいきいきとした状態のまま送り届け、音質劣化を最小限に防いでくれるのです。このテーマはチューナー選びの非常に重要なカギとなりますので、後ほど詳しく、分かりやすく解説しますね。
メリット④:他のペダルへの電源供給機能
最後に、地味ながら非常に便利なのが、一部のモデルに搭載されている「電源供給機能」です。例えば、定番であるBOSSのTU-3などには「DCアウト」という端子が付いており、ここから他のエフェクターへ電源を分岐(デイジーチェーン)させることができます。
もちろん、本格的なペダルボードには専用のパワーサプライを用意するのが理想ですが、「まだペダルの数が少ない」「とにかくシンプルに足元をまとめたい」という場合には、この機能が非常に役立ちます。チューナーが電源のハブになることで、足元の配線をスッキリさせることができるのです。
【選び方の軸】後悔しない!ペダルチューナー選びで絶対に外せない4つのポイント
さて、ペダルチューナーが持つ数々のメリットをご理解いただけたところで、いよいよ本題です。「メリットは分かったけど、じゃあ具体的に何を基準に選べばいいの?」その疑問に、一つずつお答えしていきます。
これからお話しする4つの重要なポイントを理解すれば、世の中に溢れる多くの製品情報の中から、本当にあなたに必要な機能、そして最適な一台が、クリアに見えてくるはずですよ。
ポイント①:精度 – 演奏のクオリティを決定づける生命線
まず何よりも大切なのが「精度」です。チューナーのスペック表で必ず目にする「±1セント」や「±0.1セント」といった表記。これがチューニングの正確さを示しています。
「セント」というのは音程の非常に細かい単位のことで、ピアノの鍵盤で隣り合う半音(例えばドとド#)の間を100分割したうちの1つ、とイメージしていただくと分かりやすいかもしれません。つまり、この数字がゼロに近ければ近いほど、より正確なチューニングが可能ということです。では、具体的にどのくらいの精度が必要なのでしょうか?
- ±1セント(例: BOSS TU-3):一般的なライブやバンドリハーサル、ご自宅での練習といったシーンでは、多くの場合これで十分な精度と言えます。長年の「定番」として信頼されてきたのも、この実用的な精度があってこそです。
- ±0.1セント(例: KORG Pitchblack Xシリーズ):近年、プロの現場でも標準となりつつあるのが、この「±0.1セント」という高精度です。美しいハーモニーが求められるアンサンブルや、シビアな音程感が要求されるレコーディングにおいても、十分に対応できるレベルです。迷ったら、この精度を目安にすると良いでしょう。
- ±0.02セント(例: TC Electronic PolyTune 3, VOX VXT-1):これは「超高精度」の領域です。主に、光の滑らかな動きでピッチのズレを示す「ストロボ・モード」を搭載したモデルで実現されます。光の流れがピタッと止まれば、チューニングが完璧に合ったサイン。このレベルになると、レコーディングで音を重ねた際の微妙な「濁り」を排除できるだけでなく、ギターのオクターブピッチ調整といった、楽器のメンテナンスにも絶大な威力を発揮します。
「自分はプロじゃないから…」と、高精度なものを敬遠する必要はありません。精度が高いチューナーを使うことで、自分の耳も自然と鍛えられていきます。正しい音程を知ることは、上達への一番の近道なのです。
ポイント②:視認性 – 暗いステージでも一瞬で判断できるか
次に重要なのが「視認性」、つまりディスプレイの見やすさです。想像してみてください。薄暗いライブハウスのステージ、足元を照らすのは色とりどりの照明だけ…。そんな状況でも、一瞬で、確実に音程を判断できるかどうかは、スムーズなパフォーマンスを行う上で死活問題となります。
視認性をチェックする際は、以下の点に注目してみてください。
- ディスプレイの大きさと明るさ:当然ながら、ディスプレイは大きくて明るい方が見やすいです。特に高輝度LEDを搭載したモデルは、暗い場所はもちろん、日中の野外ステージのような明るい場所でもハッキリと表示を認識できます。
- 表示モードの多様性:チューナーの表示方法には、針が左右に振れるお馴染みの「ニードル・モード」や、先ほど触れた「ストロボ・モード」など、いくつかの種類があります。どちらが見やすいかは個人の好みにもよりますので、複数の表示モードを切り替えられるモデルは、非常に便利と言えるでしょう。
ちなみに、私自身は昔ながらのニードル・モードを愛用しています。ギターを始めた頃、物理的に針が振れるアナログチューナーで育った世代なので、この表示が一番しっくりくるんですよね(笑)。このように、ご自身の慣れや好みで選べることも、多機能モデルの魅力の一つです。
ポイント③:音質への影響(バイパス方式) – 見過ごされがちな最重要項目
さあ、ここがペダルチューナー選びの最も奥が深く、そして重要な項目かもしれません。それは、チューナーがOFFの時に、ギターの信号がどのように処理されるか、という「バイパス方式」の違いです。
主に「トゥルーバイパス」と「バッファードバイパス」の2種類があり、これは優劣の問題ではなく、あなたのペダルボードの状況によって最適な選択が変わってきます。
トゥルーバイパス
チューナーがOFFの時、入力されたギターの信号は、チューナー内部の電子回路を完全に迂回(バイパス)して、そのまま出力されます。
- メリット: 理論上、音質の変化が一切ない。ギター本来のピュアなサウンドを大切にしたい方には魅力的な方式です。
- デメリット: 複数のエフェクターを繋いだり、長いシールドケーブルを使ったりすると、信号が劣化して高音域が失われる「音痩せ」が起こりやすくなります。
- おすすめな人: 繋ぐエフェクターが少ない方。システム全体をトゥルーバイパスで統一したい方。
バッファードバイパス
チューナーがOFFの時でも、信号は常に「バッファー」という回路を通過します。このバッファーが、ギターからの繊細な信号を、外部の影響を受けにくい力強い信号に変換してから出力します。
- メリット: たくさんのエフェクターや長いケーブルを繋いでも、「音痩せ」に非常に強い。ペダルボード全体の音質を安定させる効果があります。
- デメリット: バッファー回路自体の品質によって、音質が変化する可能性があります。
- おすすめな人: エフェクターを3〜4個以上使う方。ステージで長いシールドケーブルを使う方。
重要なのは、できるだけギターに近い位置に、質の高いバッファーを置くということです。ペダルボードの先頭に置くチューナーに、良質なバッファーが搭載されていれば、その後に繋がるペダル全てに良い影響を与えてくれます。
良質なバッファーを単体で購入するとなると、それなりの出費になります。しかし、質の高いバッファーを内蔵したチューナーを選べば、チューナーとバッファーを一度に、かつコストを抑えて手に入れることができるのです。これは非常に賢い選択と言えるでしょう。
最近では、TC ElectronicのPolyTune 3のように、この2つの方式を内部スイッチで切り替えられる便利なモデルも登場しています。自分の機材環境に合わせて最適な方式を選べるというのは、大きなアドバンテージですね。
ポイント④:サイズと拡張性 – ペダルボードのスペースと機能
サイズ
ギタリストにとって、ペダルボードのスペースは常に悩みの種。いわゆる「土地問題」ですね。ペダルチューナーにも、一般的なコンパクトペダルサイズの「標準サイズ」と、さらに小さな「ミニサイズ」があります。
もちろん、ミニサイズは省スペース性に優れていますが、その分ディスプレイが小さくなったり、今回ご紹介した「電源供給機能」が省略されていたりすることもあります。ご自身のペダルボードの空きスペースと、求める機能のバランスを考えて選ぶことが大切です。
拡張性(電源供給機能)
前の章でも触れましたが、BOSSのTU-3などに搭載されている、他のペダルへ電源を供給できる機能です。すでに専用のパワーサプライをお持ちの方には不要かもしれませんが、「これからペダルを少しずつ増やしていきたい」という方にとっては、非常に便利な機能と言えるでしょう。
【2025年版】プロが選ぶ!目的別おすすめペダルチューナー徹底比較
選び方の4つの軸、ご理解いただけましたでしょうか。ここからは、その軸を基に、現在市場で高く評価されているモデルの中から、私が特におすすめしたいペダルチューナーをカテゴリー別にご紹介していきます。
定番の安心モデルから、精度と音質を極めたプロ仕様機、そしてボードの省スペース化に貢献するミニサイズまで、あなたのニーズにきっと応えてくれる一台が見つかるはずです。
【絶対的定番モデル】迷ったらコレ!信頼と実績の王道
BOSS / TU-3
価格帯:14,000円前後
主な特徴:
- 精度:±1セント
- バイパス方式:バッファードバイパス
- 圧倒的な堅牢性と信頼性
- 高輝度モードによる優れた屋外視認性
- 他のペダルへの電源供給機能付き
おすすめポイント:
まさに「チューナーの代名詞」。世界中のギタリストの足元で活躍し続ける、絶対的な定番モデルです。特筆すべきはその堅牢性。多少手荒に扱ってもびくともしないタフな筐体は、ライブツアーなど過酷な環境でも安心して使えます。高輝度モードにすれば、真夏の野外ステージでも視認性は抜群。±1セントという精度は現在の基準では最高峰ではありませんが、実用上は全く問題ないレベルです。音質をさらに追求するなら、後述の「TU-3W」も素晴らしい選択肢ですよ。
BOSS / TU-3W (WAZA CRAFT)
価格帯:19,000円前後
主な特徴:
- 精度:±1セント
- バイパス方式:トゥルー/バッファード切り替え可能
- WAZA CRAFT仕様のプレミアムなバッファーを搭載
- 究極の音質を追求した、技クラフトシリーズの逸品
おすすめポイント:
定番のTU-3を、BOSSの技術の粋を集めた「技 WAZA CRAFT」シリーズとして昇華させたモデル。最大の特徴は、多くのギタリストから高い評価を得ている、非常にナチュラルで高品質なバッファーです。さらに、トゥルーバイパスへの切り替えも可能。これにより、どんなペダルボードの構成にも柔軟に対応できます。「定番の安心感は欲しい、でも音質には一切妥協したくない」という、こだわり派のギタリストに最高の選択肢となるでしょう。
【高精度・高音質モデル】プロの現場で選ばれる実力派
KORG / Pitchblack X
価格帯:15,000円前後
主な特徴:
- 精度:±0.1セント
- バイパス方式:トゥルー/ULTRA BUFFER切り替え可能
- 新開発の高品質バッファー「ULTRA BUFFER」搭載
- 大型ディスプレイによる抜群の視認性
おすすめポイント:
±0.1セントという高い精度と、新開発のバッファー「ULTRA BUFFER」が魅力の一台です。このバッファーは、バイパス時にも音質をできるだけ自然に保つことに注力して作られており、音にこだわるギタリストからも評価が高いです。もちろん、トゥルーバイパスにも切り替え可能。表示も大きく非常に見やすいので、ライブでの実用性も抜群。精度・音質・視認性のバランスが非常に高いレベルでまとまっています。
TC Electronic / PolyTune 3
価格帯:16,000円前後
主な特徴:
- 精度:±0.02セント(ストロボ時)
- バイパス方式:トゥルー/高品質バッファー(BonaFide Buffer)切り替え可能
- 全弦を一度にチューニングできるポリフォニック・モード搭載
- 常時ONモードにも対応
おすすめポイント:
現代のペダルチューナーの進化を象徴する一台で、実は私も長年愛用しているモデルです。なんと言っても画期的なのは、全弦をジャラーンと鳴らすだけで、どの弦のピッチがズレているかを一目で確認できる「ポリフォニック・チューニング機能」。現場では一刻を争う場面も多いのですが、この機能のおかげでギター交換後のチューニングチェックなどが本当に一瞬で終わります。この時間的、心理的アドバンテージは計り知れません。もちろん単音での精度も高く、ストロボ・モードでは±0.02セントという超高精度を誇ります。高品質なバッファーとトゥルーバイパスを切り替えられる点も、まさに死角なし。一台であらゆるニーズに応えてくれる万能機です。
【省スペース・ミニサイズモデル】小さくても機能は一級品
ペダルボードの「土地問題」はギタリスト共通の悩み。ここでは、限られたスペースを有効活用したいあなたにおすすめの、高性能なチューナーをご紹介します。
KORG / Pitchblack X mini
価格帯:13,000円前後
主な特徴:
- 精度:±0.1セント
- バイパス方式:トゥルー/ULTRA BUFFER切り替え可能
- ミニサイズながら大きな音名表示で見やすい
- 上位モデル譲りの高機能
おすすめポイント:
ミニサイズチューナーの定番、Pitchblack miniの正統後継機。この小さな筐体で、上位モデルであるPitchblack X譲りの±0.1セント高精度と、高品質なULTRA BUFFERを搭載しているのは驚きです。ディスプレイもサイズからは想像できないほど大きく、視認性は良好。ペダルボードのわずかな隙間にも設置できるので、「あと一つ、ディレイを置きたいのに…」といった悩みを解決してくれます。「小さくても性能には一切妥協したくない」という方にピッタリです。
BOSS / TU-3S
価格帯:12,000円前後
主な特徴:
- 精度:±1セント
- バイパス方式:バッファードバイパス
- TU-3の機能をそのままに、スイッチをなくし省スペース化
- 常時ONでの使用が前提で、スイッチャー等との組み合わせに最適
おすすめポイント:
「あのBOSSチューナーの信頼性と視認性を、もっと小さなサイズで欲しい!」そんな声に応えてくれるのが、このTU-3Sです。TU-3からペダルスイッチ部分をなくすことで、大幅な省スペース化を実現しました。常時ONでの使用が前提となるため、例えばボリュームペダルのチューナーアウトに接続したり、プログラマブルスイッチャーのループに入れて、スイッチャー側でミュートとチューナーへの信号送りをコントロールしたり、といった使い方で真価を発揮します。すでに足元で音のON/OFFを管理するシステムを導入している方にとって、これ以上なく合理的な選択肢となるでしょう。
【コスパ最強モデル】価格を抑えつつも必要十分な性能
BEHRINGER / TU300
価格帯:6,000円前後
主な特徴:
- 精度:±1セント相当
- 7種類のチューニングモードを搭載
- 驚異的な低価格
- 暗い場所でも見やすいLEDメーター
おすすめポイント:
「この価格でペダルチューナーが手に入るのか!」と驚かれる方も多いのではないでしょうか。ドイツの音響機器メーカーBEHRINGERによる、圧倒的なコストパフォーマンスを誇る一台です。精度や機能は上位モデルには及びませんが、チューナーとしての基本的な役割はしっかりと果たしてくれます。LEDメーターは暗い場所でも視認性が良く、初めてペダルチューナーを導入する方や、ご自宅での練習用、万が一のための予備として持っておくには十分すぎる性能と言えるでしょう。
【総まとめ】あなたのスタイルに合うのはどれ?用途別おすすめ診断
さて、ここまで各モデルの魅力をご紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。「それぞれの良さは分かったけど、選択肢が豊富なだけに、かえって迷ってしまった…」そんな方もいらっしゃるかもしれませんね。
ご安心ください。この章では、あなたの演奏スタイルや環境、そして何を一番重視するかによって、どのチューナーが最適なのか、最終的な診断をしていきましょう。ご自身のタイプに最も近いものを選んでみてください。
タイプ①:ライブ・バンド活動が中心のあなた
【重視するポイント】
堅牢性、暗いステージでの視認性、曲間での素早いチューニング、確実なミュート機能。
【処方箋(おすすめモデル)】
- BOSS / TU-3: 何よりもタフさと安心感を求めるなら、まず間違いない選択です。屋外での視認性も抜群。
- TC Electronic / PolyTune 3: ポリフォニック機能による「時短」は何物にも代えがたいアドバンテージ。高精度と高機能バッファーも魅力です。
- KORG / Pitchblack X: 大きなディスプレイによる視認性の高さと、音質に配慮した高品質なULTRA BUFFERが、ライブでのパフォーマンスを強力にサポートします。
タイプ②:音質に徹底的にこだわりたいあなた(レコーディング、DTM含む)
【重視するポイント】
最高の精度(±0.1セント以下)、原音を損なわない高品質なバッファー、またはピュアなトゥルーバイパス。
【処方箋(おすすめモデル)】
- BOSS / TU-3W (WAZA CRAFT): 業界でも評価の高いプレミアムなバッファーと、トゥルーバイパスの切り替えが可能。まさに音質追求型のギタリストのための逸品です。
- TC Electronic / PolyTune 3: ±0.02セントの超高精度ストロボモードは、シビアなレコーディングに最適です。定評のあるBonaFide Bufferも搭載しています。
- KORG / Pitchblack X: ±0.1セントの高精度と、音質変化を極限まで抑えるULTRA BUFFER。音に妥協したくないあなたのための選択肢です。
タイプ③:ペダルボードをコンパクトにまとめたいあなた
【重視するポイント】
省スペース性。でも、チューナーとしての基本性能は妥協したくない。
【処方箋(おすすめモデル)】
- KORG / Pitchblack X mini: 小さな筐体に±0.1セントの高精度を凝縮。上位モデル譲りの機能性も魅力です。
- BOSS / TU-3S: プログラマブルスイッチャーなど、すでに足元で信号をコントロールするシステムがあるなら最も合理的な選択肢。BOSSの信頼性を最小スペースで実現できます。
タイプ④:初めてのペダルチューナー!まずはコストを抑えたいあなた
【重視するポイント】
手頃な価格。でも、チューナーとしてしっかり使える信頼性。
【処方箋(おすすめモデル)】
- BEHRINGER / TU300: とにかく価格が魅力。ペダルチューナーがどんなものか試してみたい、という最初の一個に最適です。
- KORG / Pitchblack X mini: もし、もう少しご予算を確保できるのであれば、±0.1セントの高精度で長く使えるこちらが断然おすすめです。最初の投資としては非常に価値が高い一台です。
まとめ:最高のチューナーで、最高の音楽体験を
ここまで、ペダルチューナー選びにお付き合いいただき、本当にありがとうございました。
ペダルチューナーを選ぶ上で大切な4つの軸、
- 精度
- 視認性
- バイパス方式(音質への影響)
- サイズと拡張性
そして、それぞれの軸において高いパフォーマンスを発揮してくれる、個性豊かなモデルたちをご紹介してきました。
「たかがチューナー、されどチューナー。」私は常々そう考えています。
正確なチューニングは、気持ちの良い演奏への第一歩であると同時に、バンドメンバーや、そして何よりもあなたの音楽を聴いてくれるオーディエンスへの「配慮」の第一歩でもあります。ピッチが合った楽器同士が奏でるアンサンブルの心地よさは、何物にも代えがたいものです。
この記事でご紹介した情報が、あなたのペダル探しの、一つの「道しるべ」となれば、これほど嬉しいことはありません。
最高のチューナーとは、最も高価なものでも、最も多機能なものでもありません。あなたの演奏スタイルに静かに寄り添い、あなたのサウンドを確実に支えてくれる一台です。
ぜひ、あなたにとって最適な一台を見つけ出し、素晴らしいギターライフを思いっきり楽しんでください!
あなたの音楽活動が、今日よりもさらに豊かで楽しいものになることを、心から願っています。
ギターの処方箋TAKAMURA
代表 高村尚平
よくある質問(Q&A)
- Q1. 正直、クリップチューナーじゃダメなんですか?
- A: 決してダメということはありません。ご自宅での練習や、アコースティックギター1本での弾き語りなど、手軽さが求められる場面ではクリップチューナーも非常に便利です。
しかし、ライブやスタジオでのバンド演奏となると話は別です。足元で素早く操作でき、音を出さずにチューニングできる「ミュート機能」は、スムーズな進行とステージマナーの観点から、ペダルチューナーが圧倒的に有利と言えます。また、エフェクターボードに組み込むことで音質を整える「バッファー」の役割も、クリップチューナーにはない大きなメリットです。
「普段の練習はクリップ式、ライブやリハではペダル式」といったように、用途に応じて使い分けるのも非常に賢い方法ですよ。 - Q2. バッファーって本当に必要?トゥルーバイパスの方が音が良いと聞きましたが…
- A: これは非常によくある質問で、多くのギタリストが悩むポイントですね。結論から言うと、これは「どちらが優れているか」という話ではなく、「どちらがあなたの機材環境に適しているか」という「適材適所」の問題です。
繋ぐエフェクターが1〜2個と少なく、シールドも比較的短いのであれば、音質変化が原理的にないトゥルーバイパスの恩恵は大きいでしょう。
一方で、たくさんのエフェクターを繋いだり、ステージで長いシールドを使ったりする場合は、信号の劣化(音痩せ)を防いでくれるバッファーの恩恵が絶大です。大切なのは、ご自身のペダルボード全体の構成を考えて、最適な方式を選ぶことです。 - Q3. ペダルチューナーの電源はどうすればいいですか?
- A: 基本的には、他のコンパクトエフェクターと同じです。専用のパワーサプライ(複数のペダルに電源を供給する機材)や、個別のACアダプターから電源を取ります。多くのペダルは一般的な「9V DC センターマイナス」という規格に対応しています。
また、本文でも触れたように、BOSSのTU-3のように「DCアウト」端子を備えたモデルであれば、そこから他のペダルへ電源を分配することも可能です。ペダルの数が少ないうちは、この機能が非常に役立ちますよ。 - Q4. 精度(±1セントと±0.1セント)の違いって、実際に聴いて分かりますか?
- A: 正直なところ、単音で弾いている限り、多くの方がその違いを明確に聞き分けるのは難しいかもしれません。では、なぜプロは高精度なチューナーにこだわるのか。
その違いが顕著に現れるのは、「アンサンブルの中での響き」や「レコーディングで音を重ねた時の透明感」です。ほんの僅かなピッチのズレが、重なり合うことでサウンド全体の「濁り」や「うねり」に繋がることがあります。
また、±0.1セント以下の高精度チューナーは、ギターのイントネーション(オクターブピッチ)を調整する際にも非常に役立ちます。より音楽的なサウンドを構築するための「頼れる測定器」として、高精度チューナーは大きな価値を持つと言えるでしょう。
この記事は2025年7月現在の情報に基づいて作成されています。価格や製品の仕様は変更される場合がありますので、ご購入前には必ず最新の情報をご確認ください。
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