エレキギターのブリッジ周りに張られた弦のクローズアップ

こんにちは!ギターの処方箋TAKAMURA、代表の高村尚平です。

エレキギターの弦、なんとなくお店で「いつものやつ」を選んでいませんか。実は弦は、ギターの「声」そのものです。ここを変えるだけで、弾き心地も、音の張りも、驚くほど変わります。

この記事は「おすすめ弦10選」のような一覧ではありません。藤沢の教室で実際に生徒さんの相談を受けてきた経験から、あなたの「症状」から逆算して、合う弦を一緒に診断していく処方箋のつもりで書きました。気になる悩みのところだけ読んでいただいても大丈夫です。

まずはここだけ|エレキ弦の基礎診断

弦を選ぶときに見るポイントは、大きく2つです。難しく考えなくて大丈夫ですよ。

① ゲージ(弦の太さ)— 個人的には「09.5-44」がちょうどいい

エレキ弦は太さの規格で呼ばれます。代表的なのはこのあたりです。

  • 09-42 … 細くて押さえやすい。チョーキングも軽い
  • 09.5-44 … その中間。細さと音の芯のバランス型
  • 10-46 … しっかり太く、音に張りと迫力が出る

ここは完全に私個人の感想ですが、迷ったら「09.5-44」がいちばんちょうどいいと思っています。理由は、10-46だと私にはやや太く感じ、逆に09-42だと少し頼りなく感じることが多いからです。その真ん中の09.5-44が、弾きやすさと音の芯を両立してくれる、という感覚です。

ただし、これはギターのスケール(弦の長さ)によっても変わります。Gibson などのミディアムスケールのギターだと、私は10-46の方が合うと感じることが多いです。スケールが短いぶん弦の張り(テンション)がゆるみやすいので、少し太い弦にすると、ちょうどよい張り感が戻ってくる——というのが、私なりの理由です。このあたりも、あくまで個人の感想として参考にしてくださいね。

② 素材(音のキャラクター)

エレキ弦の素材は、主にこのあたりです。

  • ニッケル(ニッケルメッキ) … いちばん標準的で、あたたかくバランスの良い音。まず基準になる
  • ステンレス … 明るくきらびやかで、汗や湿気による錆びに強い。少しザラつきを感じる人も
  • コーティング弦 … 表面を薄い膜で保護。値段は上がるが、張りたての音が長持ちする

迷ったら、まずはニッケルから。そこを基準に、「もっと錆びに強く」ならステンレスやコーティング、と広げていくのが分かりやすいと思います。

症状別・弦の処方箋

ここが、いちばんお伝えしたいところです。当てはまる症状のところを見てみてください。〔なぜそうなるのか〕まで添えているので、納得したうえで選んでいただけると思います。

症状A:指が痛い/チョーキングがつらい

〔なぜ〕弦が太い(=張りが強い)ほど、押さえたり音程を上げたりするのに大きな力が要ります。始めたての指や、力が入りづらい方にはこれがこたえます。

〔処方〕まずは 09.5-44、それでもつらければ 09-42 へ。細い弦はチョーキングもぐっと軽くなります。痛みで練習が嫌になる前に、道具の側で助けてあげる、という発想です。

症状B:すぐ弦が切れる・錆びる

〔なぜ〕汗や皮脂、湿気で弦は酸化します。手汗が多い方や、弾いたあと拭かずにしまう習慣があると、寿命は短くなりがちです。切れる場合は、弦そのものより巻き方やブリッジの引っかかりが原因のこともあります。

〔処方〕錆び対策ならコーティング弦ステンレス弦。あわせて、弾いたあとに乾いた布で弦を拭くだけでも寿命はずいぶん延びます。

症状C:音がこもる・抜けてこない

〔なぜ〕新しい弦の「キラッ」とした高音の輝きは、使ううちに皮脂や酸化でだんだん失われます。何をしても抜けが悪いときは、弦の寿命が近いサインかもしれません。

〔処方〕まずは新品に交換を。明るさが欲しいならステンレス、あたたかさを保ちたいならニッケルで。素材で音のキャラクターを選び分けられます。

症状D:チューニングがすぐ狂う

〔なぜ〕張りたての弦は伸びるので、しばらくは狂って当たり前です。それが落ち着いても狂う場合は、弦の巻き方(ペグへの巻き数)やナットの引っかかりが原因のことも多いです。

〔処方〕新品を張ったら、軽く引っぱって「伸ばして」から張り直すと安定します。弦そのものというより、張り方で解決できる部分が大きい症状です。

症状E:初心者、結局どれを選べばいいの?

迷ったときの「最初の1セット」をひとつ挙げるなら、ニッケルの09.5-44が、弾きやすさと音のバランスの両立でおすすめです。まずここを基準にして、痛ければ09-42へ細く、音を太くしたければ10-46へ、と微調整していくのが分かりやすいと思います。Gibson系のミディアムスケールを使っている方は、最初から10-46を試してみるのもおすすめです。

弦を長持ちさせる|湿気とサビの対策

弦の寿命は、弾く環境にけっこう左右されます。日本は梅雨から夏にかけて湿気が多く、そこに手汗が加わると、弦は思ったより早く酸化していきます。エレキは弦だけでなく金属パーツ(ブリッジやサドル)も多いので、サビとは長いお付き合いになります。

特に、私のいる藤沢や湘南のような海の近くは、潮の空気も加わってサビが早い土地です。もし海沿いにお住まいなら、対策の効果はなおさら感じやすいはずです。

湿気に悩む方には、ステンレス弦やコーティング弦がおすすめです。汗や湿気に強く、張りたての音が長持ちするので、「気づいたら音がくすんでいた」が起こりにくくなります。

そして、いちばん手軽で効果的なのが、弾き終わったあとに乾いた布で弦をさっと拭くこと。これだけでも寿命はずいぶん変わります。難しいことではないので、ぜひ習慣にしてみてくださいね。

教室で実際に勧めている3本

ここからは、私が教室で実際に生徒さんに勧めている弦を、理由つきで3つご紹介します。大手のランキング記事にはない、「本当に手渡して、弾いてもらっているもの」です。

① DR(ディーアール)— ハンドメイドの生きた鳴り

DR は、1本1本を手で巻いて作っているハンドメイド弦です。機械巻きにはない、豊かな倍音と「生きた」鳴りが魅力で、弾いていて気持ちのいい弦です。お値段はやや高めですが、その分の満足感があります。「良い音で長く楽しみたい」という方に、まず試してほしい1本です。

② SIT(エスアイティー)— 素直で信頼できる実力派

SIT は、アメリカ製のしっかりした作りで、チューニングが安定しやすく、クセのない素直な音が魅力の弦です(ブランド名の由来も「Stay In Tune=チューニングを保つ」なんです)。派手さで押す弦ではありませんが、弾いていて信頼できる、頼れる相棒です。奇をてらわず安定した1本がほしい方におすすめです。

③ D'Addario(ダダリオ)— 安定のスタンダード

D'Addario は、世界中で使われている定番ブランドです。どこでも手に入りやすく、品質も音のバランスも安定しているので、「まず基準を知りたい」ときにいちばん間違いがありません。ちなみに、私の推しゲージ09.5-44もラインナップにあります。迷ったらここから、という安心の一本です。

おわりに

弦は「切れたから仕方なく替える消耗品」だと思われがちですが、本当は自分の音と弾き心地を選べる、楽しい部分です。ゲージをひとつ変えるだけで急に弾きやすくなったり、素材を変えるだけでいつものギターが好きになったりします。

とはいえ、「自分にどれが合うのか」「張り替えのやり方が不安」というのは、文章だけだと分かりにくい部分でもありますよね。弦選びも交換も、レッスンのなかで一緒にやってみることができます。全国どこからでも受けられるオンラインレッスンのほか、対面をご希望の方には、体験レッスンを受け付けている仙台利府教室・札幌月寒教室でもご案内しています。よかったら、気軽にのぞいてみてくださいね。

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