机の上に並んだアコースティックギターの弦のパッケージ

こんにちは!ギターの処方箋TAKAMURA、代表の高村尚平です。

アコギを始めた方が、わりと早い段階で心が折れてしまう理由の上位に「指が痛い」があります。実はその痛み、練習量や根性の問題だけではなくて、弦を変えるだけでかなり軽くできることをご存じでしょうか。

アコースティックギターは、電気を通さずに木の箱そのものが鳴る楽器です。だからこそ弦の違いが、音の大きさにも、弾き心地にも、エレキ以上にダイレクトに出てきます。

この記事は「おすすめ弦10選」のような一覧ではありません。藤沢の教室で実際に生徒さんの相談を受けてきた経験から、あなたの「症状」から逆算して、合う弦を一緒に診断していく処方箋のつもりで書きました。気になる悩みのところだけ読んでいただいても大丈夫です。

まずはここだけ|アコギ弦の基礎診断

弦を選ぶときに見るポイントは、大きく2つだけです。難しく考えなくて大丈夫ですよ。

① ゲージ(弦の太さ)

アコギ弦には太さの規格があって、代表的なものはこのあたりです。

  • Extra Light(.010〜) … 一番細い。とにかく押さえやすい
  • Custom Light(.011〜) … 細さと音量のバランス型
  • Light(.012〜) … 定番。音はしっかり出るが、その分やや硬め

結論から言ってしまうと、始めたての方ほど細いゲージが味方になります。細い弦は張りが弱いぶん、少ない力で押さえられて、指が痛くなりにくいからです。「アコギは太い弦じゃないと」と思い込む必要はありませんので、安心してくださいね。

② 素材(音のキャラクター)

アコギ弦の素材は、主にこの2種類です。

  • 80/20ブロンズ … 明るくキラッとした音。張りたては特に華やか
  • フォスファーブロンズ … あたたかく落ち着いた音。錆びにもやや強め

どちらが良い悪いではなく、好みの方向性の話です。もし迷ったら、音のバランスが良くて長持ちしやすいフォスファーブロンズから試すと、失敗が少ないと思います。

そしてもう一つ、少しお高いけれど知っておいてほしいのがコーティング弦です。これについては、この後の症状別のところで詳しくお話ししますね。

症状別・弦の処方箋

ここが、いちばんお伝えしたいところです。当てはまる症状のところを見てみてください。〔なぜそうなるのか〕まで添えているので、納得したうえで選んでいただけると思います。

症状A:とにかく指が痛い/Fコードで挫折しそう

〔なぜ〕弦が太い(=張りが強い)ほど、押さえるのに大きな力が必要になり、指先の負担が増えます。始めたての柔らかい指には、これがかなりこたえます。

〔処方〕まずは Extra Light など細めのゲージへ。それだけで「昨日まで押さえられなかった場所」が、少し楽になることがよくあります。痛みで練習が嫌になってしまう前に、道具の側で助けてあげる、という発想です。

症状B:音が細い・迫力が出ない

〔なぜ〕細い弦は押さえやすい代わりに、音量やふくよかさは控えめになりがちです。弾き語りで声に負けてしまう、と感じる方は、ここかもしれません。

〔処方〕Custom Light 〜 Light に一段上げつつ、素材をフォスファーブロンズに。太さと素材の両面から、音に芯とあたたかみを足していきます。指の慣れと相談しながら、少しずつで大丈夫ですよ。

症状C:すぐ弦が黒ずむ・寿命が短い

〔なぜ〕汗や皮脂、空気中の湿気で、弦は少しずつ酸化していきます。手汗が多い方や、弾いたあと拭かずにしまう習慣があると、寿命は短くなりがちです。

〔処方〕コーティング弦(Elixir など)が効きます。弦の表面を薄い膜で保護してあるので、普通の弦より長く「張りたてに近い音」が続きます。1セットの値段は上がりますが、交換の回数が減るので、結果的にコスパが良くなることも多いです。

症状D:弾き語り向き? ソロギター向き?

〔なぜ〕用途によって、欲しい音のバランスが変わってくるからです。

〔処方〕ざっくりですが、歌の伴奏なら中庸なフォスファー系ギター1本で聴かせるソロなら音量と分離の出る Light 系が合わせやすいです。ここは正解が一つではないので、目安として持っておいてくださいね。

症状E:初心者、結局どれを選べばいいの?

迷ったときの「最初の1セット」をひとつ挙げるなら、フォスファーブロンズの Custom Light あたりが、押さえやすさと音のバランスの両立でおすすめです。まずここを基準にして、痛ければもう一段細く、音を太くしたければ一段太く、と微調整していくのが分かりやすいと思います。

湘南・藤沢でアコギを弾く方へ

ここは、この土地でギターを弾く方に、特にお伝えしたい話です。

藤沢や湘南は海が近く、湿気や潮の空気がある地域です。アコギは生の木でできた楽器なので、実は弦にとってはなかなか過酷な環境でもあります。梅雨から夏にかけては、弦の錆びが早いと感じる方も多いはずです。

だからこそ、この土地では前に触れたコーティング弦の恩恵が大きくなります。湿気に強く、張りたての音が長持ちするので、「気づいたら音がくすんでいた」が起こりにくくなるんですね。

あわせて、弾き終わったあとに乾いた布で弦をさっと拭くだけでも、寿命はずいぶん変わります。楽器を湿気の多い場所に置きっぱなしにしない、というのも生楽器ならではの大事な一手間です。難しいことではないので、ぜひ習慣にしてみてください。

弦選びに迷ったら|まずはこの1つ、そして定番

私のイチオシは「Elixir(エリクサー)」

いろいろ試してきたなかで、私が今いちばん気に入っているのは Elixir のコーティング弦です。理由は、大きく2つあります。

ひとつは、コーティング弦なのに「コーティングっぽい違和感」をほとんど感じないこと。コーティング弦というと「指の滑りが不自然」「音がこもる」というイメージを持つ方もいますが、Elixir はそのあたりがとても自然で、普通の弦の感覚に近いまま使えます。

もうひとつは、あのキラキラした張りたての音が、とにかく長く続くこと。普通の弦だと数日〜数週間で少しずつくすんでいく音が、Elixir はその輝きをかなり長くキープしてくれます。前の章でお話しした、湿気の多い湘南の環境とも相性が良いです。

正直に言うと、難点は1セットの値段がやや高めなところです。ただ、長持ちするぶん交換の回数が減るので、トータルで見れば「高すぎて損」とは感じにくいと思います。まず良い音を長く楽しみたい方には、自信を持っておすすめできます。

予算を抑えたいなら|一般的に定番とされる弦

「まずはコストを抑えて始めたい」という方には、昔から多くの人に選ばれてきた定番弦もあります。ここは私の一推しというより、一般的に評価が安定しているものとして挙げておきますね。

  • D'Addario(ダダリオ)EJ16 / フォスファーブロンズ Light … 世界的な定番で、どこでも手に入りやすく、音のバランスも素直。「まず基準を知りたい」ときに向いています
  • Martin(マーチン)フォスファーブロンズ系 … アコギの老舗ブランド純正。あたたかみのある王道サウンド

※押さえやすさを最優先したい初心者の方は、上記の Custom Light / Extra Light 版を選ぶと、指の負担がぐっと減ります。

まずは定番で感覚をつかんで、「もっと音を長持ちさせたい」と思ったら Elixir に上げてみる、という順番も分かりやすいと思います。

おわりに

弦は「切れたから仕方なく替える消耗品」だと思われがちですが、本当は自分の音と弾き心地を選べる、楽しい部分です。ほんの少し種類を変えるだけで、昨日まで痛かった場所が楽になったり、いつものギターが急に好きになったりします。

とはいえ、「自分にどれが合うのか」「交換のやり方が不安」というのは、文章だけだと分かりにくい部分でもありますよね。弦選びも交換も、レッスンのなかで一緒にやってみることができます。全国どこからでも受けられるオンラインレッスンのほか、対面をご希望の方には、体験レッスンを受け付けている仙台利府教室・札幌月寒教室でもご案内しています。よかったら、気軽にのぞいてみてくださいね。

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代表 高村尚平

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