「自分にはギターの才能がない…」と諦める前に。回り道した私だから伝えられる、本当の上達法

ギターは耳で上達するということを表しているイメージ図。ヘッドホンをして音楽を聴きながら楽譜を書いている男性。

「生まれつきの絶対音感」は存在しない?
私がギターの「聴く力」を後天的に身につけた経験と、教室への想い

今回のブログでは、「生まれつきの絶対音感は存在するのか」というテーマについて、私自身の経験から思うこと、そして、それが今のギター教室でのスタンスにどう繋がっているかをお話ししたいと思います。

その前に、よく耳にする「絶対音感」と「相対音感」が、一般的にどういうものか簡単にご説明します。

  • 絶対音感:聴いた音を、他の何かと比べることなく、すぐに「ド」や「ラ」といった音名で言い当てられる能力。
  • 相対音感:基準となる音を一つ聴くと、それを頼りに他の音の高さを判断できる能力。

この2つの本質的な違いは、音を聴いて瞬時に判断できるか、一度なにか基準の音を挟んで推測するか、という点にあると私は考えています。

音楽とは無縁だった私がギターを始めるまで

少し私の楽器歴をお話しさせてください。私自身、16~17歳でエレキギターを手にするまで、学校で習うハーモニカやリコーダー以外、楽器に全く触れたことのない人間でした。もちろん授業でも、ただ楽譜に書かれた指の順番を覚えるだけで、自分が何の音を鳴らしているかなんて、さっぱり分かっていませんでした。

当時の私は、「絶対音感」や「音楽的才能」とは、幼い頃からピアノやヴァイオリンを習い続けた人たちの努力の賜物か、あるいは本当に生まれ持った特別な才能だと思っていました。学校以外の時間は塾かゲームかスポーツ。そんな自分とは全く無縁の世界だと感じていたのです。

弾いていても上達している気がしなかった頃

興味本位でエレキギターを始め、好きなバンドのTAB譜を買って練習する日々。しかし、根本的に上達しているという実感が全くありませんでした。

それもそのはずです。TAB譜に書かれた数字の通りにチューニングをし、どこをどのタイミングで弾くかということを「作業」として覚えていただけ。肝心な「どの音を鳴らしているか」を全く意識していなかったので、上達を感じられなかったのは、今思えば当然のことでした。

「今日、何がしたい?」と問われ続けたギター教室

独学に根を上げて地元のギター教室に通うことにしました。講師は、avex所属アーティストのバックギタリストも務めた経験のあるプロの方でした。

しかし、そこで講師から言われるのは、いつも「今日何がしたい?なんの曲をやりたい?」という言葉でした。
当時の私は、オープンコードすらおぼつかず、単音とコード弾きでのピックの当て方の違いも分からない。「6弦の開放弦が何の音か」すら知らない状況です。何が分からないのかさえ分からないので、ただ基礎から教えてほしい、というのが本音でした。

結局、その教室では幾つかのバレーコードを習った以外は、当時ネットでTAB譜を探しても見つからなかった曲を先生に聴いてもらい、「ここはこう弾いてるんじゃないか?」「このチューニングかな?」と、二人で耳コピをするような時間がほとんどでした。

転機となった言葉「自分の耳で聴きなさい」

だけれども、この先生から教わったある一言が、間違いなく今の私の基礎になっていると感じています。それは、

「TAB譜を信用して見続けてはだめ。間違っていることもあるから、自分の耳で聴きなさい」

正直なところ「無理だ、無茶苦茶なことを言うな」と思いましたが、その言葉を信じて耳コピを始めました。単音のフレーズはまだしも、コードになると難易度は段違いです。速いフレーズや音の間隔が狭いものは、何度聴いても全てを正確に把握することはできませんでした。

それでも、CDプレイヤーの再生・停止・巻き戻しボタンを何度も押しながら、必死に音を拾う練習を続けました。

「聴く力」が飛躍的に伸びた理由

この頃の私は、歪んだギターの音がパワーコードなのか単音なのかすら曖昧で、「この音はFっぽいな、でもGのようにも聴こえる…」と感じたら、自分のギターで順番に音を鳴らして「正解はF#だった!」と確認する、というレベルでした。これは、まぎれもなく「相対音感」だったと言えます。

そこから聴き取る力が大きく向上したきっかけは、ギターの基礎教則本を初めて買い、そこで音楽の「理屈」を学んだことでした。

その本で、基本的なコード、指板上の全ての「ドレミファソラシド」の位置、そしてルート音からの度数の関係やコードの構成音(なぜその音が使われているのか)を学びました。
これで音楽への理解度が格段に高まり、それまでのように「この音はこれ、他の音はこれ…」と一つずつ音を探さなくても、ある程度コードの響きから構成音を推測できるようになったのです。
7thや9thといったテンションコードの知識も、聴音の解像度を上げるのに非常に役立ちました。

そこから気に入った曲を手当たり次第コピーすることを2〜3年ほど繰り返す頃には、他の音と照らし合わせなくても「これはこの音だ」と判断できるようになっていました。そして、音を意識して聴けば聴くほど、その反応速度も速くなっていったのです。

かつては才能の世界だと思っていた「絶対音感」に近い技術が、後天的に、しかも音楽経験のなかった私にも身についていたのです。それはまるで、新しい言語を学ぶプロセスに似ていると感じています。

ギターの処方箋 博多教室のスタンス

最後に、私の教室に対するスタンスをお話しさせてください。
まず大前提として、私自身が生徒様の「ギターが楽しい」という気持ちを奪う原因になってはいけない、と考えています。

昔、私が「今日何をしたい?」と毎回聞かれて困ってしまったように、生徒様を途方に暮れさせるようなレッスンはしたくありません。
生徒様のやりたい曲や「こうなりたい」という理想像をお聞きし、その目標に到達するために、どのような基礎やテクニックが必要かを考え、道筋を示しながらレッスンを進めていきたいのです。基礎練習ばかりでは退屈かもしれませんが、やりたい曲を題材に「この基礎が、ここでこう役立っている」と実感していただく。その両立を目指すのが私のやりたいことです。

ギター教室によっては、生徒様に何年も継続して通っていただくことを良しとする場所もあるかもしれません。しかし私は、5年以上も通ってほしいとは考えていません。月2回のレッスンだとしても、5年かけても生徒様が基礎的な演奏や音感を養えていなければ、それは教える側の力不足だと考えます。
もちろん、そのためにはレッスン以外の時間での練習が不可欠です。レッスンでは、私がいない時間も上達していけるようなアドバイスや練習方法をしっかりお伝えします。

今の時代、学ぶ意欲さえあれば、教則本やYouTubeでいくらでもギターを学べると考えています。

そうした環境で、私たち対面のギター教室にできることは何か。
それはやはり、直接生徒様の演奏を見て、その人に合った次のステップを的確に提案できること。ネットには情報がない曲を一緒に耳コピすること。そして、何よりコミュニケーションを通して、生徒様のモチベーションを維持し、さらにギターを好きになってもらうことだと考えています。

2〜4年で、私から教わることがなくなるくらいに上達し、自由にギターを弾いたり曲を作ったりできるようになっていただく。そのために何ができるかを考えながら、この仕事に向き合っていきたいと思っています。

まとめ

ここまで長い文章を読んでいただき、ありがとうございました。
今回のブログでお伝えしたかったことを、最後にまとめさせてください。

  • 「音楽の才能」は生まれつきだけでなく、正しい方法で後から鍛えることができる。
  • TAB譜をなぞるだけでなく、「自分の耳で聴き」「音楽の理屈を知る」ことが上達への近道になる。
  • 独学で迷ったら、あなたに合った道筋を示してくれるプロの力を借りるのも、有効な選択肢である。

私がこの経験談をお話ししたのは、かつての私と同じように「自分には才能がないから」とギターを諦めかけていたり、「何から手をつけていいか分からない」と途方に暮れていたりする方が、きっとどこかにいると思ったからです。

もしこの記事を読んでくださっているあなたが、少しでもそう感じているのなら、決して一人で悩まないでください。

ギターの処方箋 博多教室では、そんなあなたのための体験レッスンをご用意しています。あなたの好きな音楽、目標、そして今抱えている悩みを、ぜひ一度、私に聞かせていただけませんか。

全力で、あなたの「ギターが上手くなりたい」という気持ちにお応えします。

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ギターは耳で上達するということを表しているイメージ図。ヘッドホンをして音楽を聴きながら楽譜を書いている男性。

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この記事を書いた人

ギターの処方箋TAKAMURA博多教室講師:岡村一真

人生のいろいろなシーンで音楽に救われてきました。だから音楽で誰かを支えたい…そう思いギター講師という道を選びました。音楽はあなたの”居場所”にもなります。自分もそれを身をもって経験しているからこそ、音楽の力を生徒さんに伝えていきます。

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